漁協の証人は証拠を示せず

〜5億5千万円三番瀬貸付金返還訴訟〜



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 (2013年)6月28日、三番瀬貸付金返還訴訟の証人尋問がおこなわれました。
 この訴訟は、県(企業庁)が県信用漁業協同組合連合会(信漁連)に対して5億5000万円の貸付金を返済するよう求めたものです。
 貸付金は、市川市行徳・南行徳両漁協が1982年から86年にかけて実施した人工干潟「養貝場」造成事業(市川地区漁場改善事業=潮干狩り場建設事業)にかかわるものです。人工干潟は市川市塩浜1丁目地先にあります。
 この事業は失敗しました。アサリを撒いても全滅状態になったのです。そのため、造成後しばらくして潮干狩りをやめてしまいました。
 企業庁は、三番瀬埋め立て計画を円滑に進めるため、1993(平成5)年に5億5000万円を信漁連に無利子で貸し付けました。5億5000万円の内容は、両漁協が信漁連から借りた3億8900万円とその利息分の一部でした。

 証人尋問は裁判の最大の山場です。


〔証人〕
 ◇原告側
  H氏……1992(平成4)〜1993(平成5)年、企業庁事業対策課長として
      5億5000万円の無利子貸し付けにかかわりました。

 ◇被告側
  N氏……市川市行徳漁業協同組合
  O氏……南行徳漁業協同組合


「あくまでも貸付金であり、返済すべきものだった」

 最初に元企業庁担当課長のH氏が証人に立ちました。H氏はこんなことを証言しました。
  • 1992(平成4)年、人工干潟造成事業にかかる自己資金と貸付金、利息を県企業庁が負担してほしいという要望を両漁協から受けた。

  • しかし、両漁協の自主的収益事業にかかる費用を県が負担するのは虫がよすぎる。県が負担する根拠もない。そういうことから、企業庁内では反対意見が強かった。

  • とはいえ、市川二期埋め立て造成事業を推進するためには両漁協の協力が必要である。そこで信漁連と協議し、信漁連に対して5億5000万円を無利子で貸し付けることにした。

  • 5億5000万円は、県が面倒をみるべき性格のものではなかった。あくまでも貸付金であり、返済してもらうもの、となっていた。当時、そのことを両漁協に対してもはっきり伝えた。

「人工干潟(潮干狩り場)はアサリが全滅」
 「企業庁がすべて面倒みるという話を組合長から聞いた」

 つづいて、被告側のN氏とO氏が証言に立ちました。二人はこんなことを述べました。
  • 人工干潟(潮干狩り場)は1982年頃に造成した。最初のうちはアサリが定着し、潮干狩りも盛況であった。ところが、しばらくして青潮の影響でアサリが全滅状態になり、潮干狩りができなくなった。青潮というのは、埋め立て用土砂の浚渫跡に貧酸素水塊が溜まり、北東風が吹いたときにそれが湧き上がるものである。

  • 干潟造成事業にかかる5億5000万円の貸付金は県(企業庁)がすべて面倒をみる。そういう話になっているということを、当時の組合長(市川市行徳漁協の平野寅蔵組合長と南行徳漁協の田中卯之吉組合長)から聞いていた。だから5億5000万円は返す必要がない、と私たちは理解していた。企業庁との交渉はすべて組合長がやっていた。

  • 転業準備資金問題の特定調停がおこなわれたさい、漁協は「5億5000万円の貸付金もいっしょに処理してほしい」と企業庁に要請した。ところが、特定調停のさい、裁判所の控室に企業庁のM氏がやってきて、転業準備資金問題と5億5000万円の貸付金問題は「別枠で対応する」と述べた。

  • 2011(H23)年になり、5億5000万円を返済してほしいということを突然、企業庁が言い出した。

  • 両漁協とも組合財政に余裕がないので、2億7500万円(計5億5000万円)を返済することは不可能である。

  • 県企業庁がすべて面倒をみるという話を当時の組合長から聞いていたので、5億5000万円の返済には納得できない。


9月6日に最終弁論?

 以上です。
 ご覧のように、原告側の証人は「5億5000万円は貸付金なので返済すべき」と証言しました。
 これに対し、被告側の証人(2人)は、「県企業庁がすべて面倒をみるという話を当時の組合長(故人)から聞いていたので、返済には納得できない」という主張です。しかし、「企業庁がすべて面倒をみる」を裏づける証拠書類は提示できませんでした。

 次回の口頭弁論は9月6日です。最終弁論になるかもしれません。














市川市行徳漁協と南行徳漁協が造成した人工干潟「養貝場」
生物相はたいへん貧弱である=2011年4月20日撮影



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