「いなげの浜」のホワイトビーチ化は大失敗
8億円かけた白砂が完成から6日後に飛散
─TBSテレビ「噂の!東京マガジン」より─




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 千葉市「いなげの浜」のホワイトビーチ化は大失敗。8億円の税金ムダづかい──。 これを9月13日のTBSテレビ「噂の!東京マガジン」がとりあげた。

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 この事業は、千葉市がオーストラリアから白砂を搬入し、リゾート感あふれるホワイトビーチをめざして砂浜を改修した。完成は2019年10月6日だ。
 千葉県自然保護連合は、2018年6月発行の『自然通信ちば』144号でこの事業を批判した。「幕張の浜」を例にあげ、侵食による流出などでホワイトビーチは実現不可能と指摘した。近隣の自治会や住民のこんな声も紹介した。「流出がわかっているのに、なぜ巨費を投じてオーストラリアから白砂を搬入するのか」。
 それが現実のものとなった。白い砂浜の完成からわずか6日後に白砂は半分が飛散したのである。昨年10月12日に襲来した台風19号によってだ。番組は、その悲惨な実態をえぐってくれた。一部を紹介させていただく。



ホワイトビーチの完成から6日後、台風19号の襲来によって白砂の半分が飛散し、
もとの黒い砂に戻った=2019年11月7日撮影




■2020年9月13日放送のTBSテレビ「噂の!東京マガジン」
〔笑福亭笑瓶が見に行く噂の現場〕
8億円かけた白い砂が風で飛散! 税金の無駄遣い!?




◆番組の紹介
 千葉市稲毛海浜公園の「いなげの浜」にはオーストラリア産の白い砂が撒かれ注目を集めた。ところが、完成から6日後に直撃した台風19号により、白い砂は飛散し、砂浜はまだら状態になってしまった。8億円の税金をかけて造られたビーチの変貌に住民からは不満の声が。

◆視聴者からのメール
「千葉市は海辺を生かしたリニューアルをすすめ、令和元年10月にホワイトビーチが完成しました。できあがった当初は白く美しかったのですが、台風により白い砂は飛散し、まだら模様の砂浜へ変わり果ててしまいました。税金の無駄づかいだと思います」



◇ナレーション
 問題の砂浜は千葉市が運営する稲毛海浜公園のなかにある。砂浜から150m離れた通路にも白い砂がたくさん飛んできている。

◇笑福亭笑瓶
「ありゃりゃ! たしかに、砂浜はツートンカラーになっている。浜辺の海のほうは完全に昔の稲毛の浜になっている」

◇ナレーション
 砂浜の半分は美しい白い砂ですが、もう半分は黒い砂になっています。

◇笑福亭笑瓶
「砂浜というより、砂利が混ざって残念なありさまになっていますね。この砂はどこから持ってきたのですか」

◇メール投稿者
「オーストラリアからわざわざ持ってきた。8億円かかっています」

◇ナレーション
 それを知った市民の多くが税金の無駄づかいだと訴えています。

◇市民(2人+1家族)
「もったいないですね。8億ですからね」
「全然無駄でしたよね」
「8億かけるなら黒くてもよかった」

◇ナレーション
 稲毛海浜公園は広大です。面積は東京ドームのおよそ17個分に相当する約83ha。全長は約3km。海浜プールやテニスコート、そしてヨットハーバーもある海辺のレジャースポットです。なかでも人気なのが海水浴場「いなげの浜」(全長1200m)。今回の現場です。
 千葉市は令和元年に黒い砂浜を白い砂浜に大リニューアルしましたが、現在はこんな状態になっています。

◇メール投稿者
「もともとここは風の強いところで、風が吹くたびに砂がどんどん飛散している」

◇ナレーション
 砂浜の白い砂は、風で公園のほうに飛ばされています。350m離れた公園の入り口にもそれらしき白い砂が。公園のいたるところに砂浜から飛んできた白い砂がたまっていました。
 かつてこのあたりには稲毛海岸という天然の砂浜がありましたが、高度経済成長期に埋め立てられ、なくなってしまいました。その砂浜をとりもどうそうと昭和51年、千葉市が日本で初めて人工の砂浜をつくったのです。
 それが長さ1200m、幅200mの「いなげの浜」。そして去年10月6日、白い砂浜が完成し、待望のオープン。しかしその6日後、台風19号が千葉県を直撃したのです。
 美しい白い砂浜が台風で無惨な姿に。このことに市民は。

◇市民
「白い砂を入れたけど、みんな飛んじゃいましたよね。考え方がすごく浅はかですよね。市役所はなにをやっているんですかね」

◇笑福亭笑瓶
「8億円をかけて白い砂浜にリニューアルしたのですが、そもそもこの計画には無理があったという指摘もされています」

◇ナレーション
 地域の問題をとりあげてきた稲毛新聞。代表取締役の佐藤正成さん(80)は、「いなげの浜」は昭和51年にできた当初から砂浜の侵食が激しかったと話します。

◇佐藤正成さん
「いなげの浜はすぐに砂浜が削られて流される。しょっちゅう砂を埋めて補修するが、すぐに自然の威力で砂が削られる」

◇ナレーション
 佐藤さんによれば、開設してわずか7年後の昭和58年に、ダンプおよそ1万台分(約4万8000?)という大量の砂を補充したといいます。

◇佐藤正成さん
「あれもどんどん混ざってね。また黒くなっちゃいますよ。“元の木阿弥”ということになるんじゃないかと私は予想しています」

◇ナレーション
 ではなぜ、浸食の激しい「いなげの浜」に千葉市はわざわざ白い砂を入れたのか。それは官民連携による稲毛海浜公園リニューアル事業の一環でした。民間事業者の発案をうけ、千葉市が整備事業費をだしたといいます。その金額はおよそ8億円(8億1600万円)。税金です。そして市民が最も怒っているのがこれです。白い砂はオーストラリアからの輸入品なので高価なはずだ、というのです。そこで番組が砂の専門業者に価格を確認しました。

◇砂の専門業者
「オーストラリア産のほうがまったく高い。10倍ほど高い。やはり距離だと思う。砂の採取地とか砂の選別工場からの距離がいちばんのコストアップにつながると思う」

◇ナレーション
 ほかと比べるとさまざまな疑問がわいてくる「いなげの浜」。そもそも、オーストラリアの白い砂は「いなげの浜」に適していたのでしょうか。海岸侵食の専門家に現場をみてもらいました。一般財団法人土木研究センターの宇多高明工学博士です。宇多さんは、風への対策が不十分で、管理もずさんだと言います。

◇ナレーション
 この状況を千葉市はどう考えているのでしょうか。

◇千葉市緑政課長
「今回、砂の補充を必要とするタイミングでもあったので、白い砂というかたちで進める選択をした」

◇ナレーション
 砂の補充が必要なタイミングで白い砂にしたので、無駄ではなく効率的だったというのです。

◇笑福亭笑瓶
「近場から砂を持ち込んだほうがよかったのではないか、という声にたいしてはどうですか」

◇千葉市緑政課長
「そこはめざすべき都市型ビーチというものに合うか合わないか。金額だけではなく……」

◇ナレーション
 割高なオーストラリア産の白い砂を選んだ理由は、都市型ビーチにするためだったといいます。

◇笑福亭笑瓶
「ホワイトビーチとは言い切れない状況になっていますが」

◇千葉市緑政課長
「風速がどのぐらいでどうなるかとか、そこまでの細かな予測などはしていない」

◇ナレーション
 想定外のことがつぎつぎと起こってこんなことになってしまった、ということのようです。

◇笑福亭笑瓶
「市民のために造った人工の砂浜なので、市民の声をもっと聞きながら事業を進めていただきたいと思う噂の現場でした」





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