〜浅海域の一部をつぶし、石積み護岸を建設〜
牛野くみ子
(2006年)5月31日、塩浜2丁目で行われている護岸改修事業の見学会が県により催され、参加しました。
工事は5月にはじめられました。すでに、平成17、18年度施行予定区間の100mには、海側に捨て石が入れられ、工事用道路を造っている最中でした。施行手順としては3つあり、そのステップ1です。
今後は、仮設道路を工事車両が通れるように平らにならし、既設の護岸コンクリートを壊し、捨て石の上に一つ1トンの被覆石を置くことが予定されています。
■工事で生き物は生き埋めに
県河川環境の担当者は「工事は順調にいっている」と話していました。わずか1か月の間に、100m区間、高さ3mまで、捨て石が入れられました。工事はやりだすと早いです。
石を入れられたことにより、生き物は生き埋めになりましたが、それに対しては何も答えませんでした。
工事に先立ち、4月1日には潮間帯の生物調査があり、私も参加しました。「このときの調査はどのように活かされるのですか」には「現在、コンサルタントがまとめている。次回の検討委員会には結果が出せる」とのことでした。
次の生物調査は、海の工事が終わった段階の(円弧すべり抑止のためH鋼杭を入れる)9月に、そして1年後にするとのことでした。調査をしたからには、何らかの形で工事に反映されなければ何もなりません。
■モニタリングの評価・再検討は護岸構造だけ
事業計画案には、モニタリング調査とか、順応的管理という、自然環境に配慮していると思わせる言葉が並んでいます。しかし、パブコメにも書いたとおり、護岸の整備目標とか事業量目標は書かれていても、生物がどのようになったらそのまま続行するのかとか、中止するのかなどの生物目標は書かれていません。評価・再検討は護岸構造だけなのです。
■いったいこれのどこが再生なのか、ただの土木工事じゃないか
この日、これ以上海域を狭めないという基本原則を無視し、海側に30mも張り出しての工事を見学して、いったいこれのどこが再生なのか、ただの土木工事じゃないかと思ったのは私一人ではないでしょう。
4月1日もそうでしたが、この日も護岸周辺ではアサリ採りの方がいて、アミ袋にたくさんアサリを入れていました。
こういった生物が今後も埋められていくのです。干潟・浅瀬の重要性を訴えて来たのに、海側に30mも石が入れられてしまいました。これ以上生物を生き埋めにしないために、皆さん「円卓会議の意思を尊重してほしい。海を狭める工事を中止して欲しい」の声をあげてください。
(2006年6月)
海をつぶしての護岸改修がはじまった
★関連ページ
- 三番瀬護岸改修工事がはじまる〜たくさんの生き物が死滅(2006/5/18)
- 塩浜護岸改修の事前モニタリングに参加(牛野くみ子、2006/5)
- パブリックコメントも会場発言も無視!〜第9回「三番瀬再生会議」(2005/12/27)
- 市川市塩浜護岸改修事業計画(案)に寄せられた意見(全22人)(2005/12)
- 三番瀬保全団体が市川塩浜護岸改修に関する申入書(2005/10/28)
- 三番瀬再生計画(基本計画)に猫実川河口域の保全は盛り込まず〜第6回「三番瀬再生会議」(2005/6/16)
- 「三番瀬再生会議」が発足〜大規模な人工干潟造成がでてくる可能性も(千葉県自然保護連合事務局)
- 危うし三番瀬!(古井利哉)
- 三番瀬再生事業がスタート〜柱は「砂護岸」造成など(千葉県自然保護連合事務局)
このページの頭にもどります
「主張・報告」にもどります
「三番瀬再生事業」にもどります
トップページ | 概 要 | ニュース | 主張・報告 | 行政訴訟 |
資 料 | 干潟を守る会 | 自然保護連合 | リンク集 |