市民調査が第二湾岸道路建設阻止に貢献

〜予定ルートの三番瀬・猫実川河口域を調査(2019年6月)〜



トップページにもどります
「ニュース」にもどります
「市民調査」にもどります


 第二東京湾岸道路は、浦安市、船橋市、習志野市、千葉市の埋め立て地に8車線の用地が確保されている。だが、三番瀬のルートが確定しないため建設できない。三番瀬保全団体は、この道路の建設を26年間食い止めてきた。第二湾岸道路建設を阻止するうえで、三番瀬市民調査が大きな役割をはたしている。


人工干潟造成と第二湾岸道路建設を阻止

 三番瀬は東京湾奥部に残る貴重な自然干潟・浅瀬である。三番瀬埋め立て計画は2001年9月に中止になった。千葉県はその後、浦安寄りに位置する猫実川(ねこざね)河口域(市川市塩浜2、3丁目地先)を人工干潟にすることをめざした。この海域に第二東京湾岸道路を通すことが目的である。第二湾岸道路は埋め立て地に8車線の用地が確保されているが、三番瀬で中ぶらりんになっている。そこで、猫実川河口域を人工干潟にし、その造成工事のさいに沈埋(ちんまい)方式で道路を通すというものである。

 三番瀬保全団体は猫実川河口域を守るため、2003年に「三番瀬市民調査の会」を立ちあげた。以来、この海域の調査を17年つづけている。
 市民調査によって、第二湾岸道路の予定ルートに約5000uの大規模なカキ礁が存在することが明らかになった。猫実川河口域は多種多様な生物が生息するなど三番瀬の生物多様性を維持するうえで大切な海域であることも証明された。絶滅危惧種も数多く生息している。それを新聞各紙やテレビ、週刊誌が大々的に報じてくれた。その結果、県は2016年10月、人工干潟造成計画を中止した。第二湾岸道路の建設も食い止めることができた。

 しかし、国交省と千葉県は第二湾岸道路の建設をあきらめない。今年(2019年)1月17日、第二湾岸道路の建設にむけた検討会の設置を石井啓一国土交通大臣が表明した。国交省は3月28日、第1回「千葉県湾岸地区道路検討会」をひらいた。三番瀬保全団体は第二湾岸道路の三番瀬貫通を阻止するためさまざまな運動をつづけている。市民調査も継続している。


大規模なカキ礁を発見

 猫実川河口域は、大潮の干潮時に泥干潟があらわれる。しかし護岸の前が深くなっているため、ボートを使わないと干潟に踏みいれることができない。遊船協会のみなさんがボートをだしてくださっているおかげで調査をつづけることができている。

 調査は、干潟が昼間に干出する4〜8月に月1回実施している。調査項目は、生き物、カキ礁、アナジャコ巣穴数、酸化還元電位、強熱減量、塩分、透視度などである。毎回参加する調査員のほか、学者、研究者、大学生、弁護士、議員、記者なども参加している。これまでに1回以上参加した人は400人を超える。2013年からは法大生も参加している。これまで市民調査に参加した法大生は実数で91人である。法大生からは、「天然のカキ礁を見たり泥干潟に踏みいれたりするのは初めて。いろいろな種類の生き物にふれることができて貴重な体験となった」などの感想が寄せられている。

 調査の結果、この海域は生物相がたいへん豊かな海域であり、東京湾漁業にとって大切な“いのちのゆりかご”となっていることを証明した。約5000uの天然カキ礁が存在することやたくさんのアナジャコが生息していることも、市民調査ではじめて明らかになった。天然カキ礁の存在とアナジャコの生息は、千葉県が1996年から3年間、6億円をかけて実施した「三番瀬補足調査」(市川二期地区・京葉港二期地区計画に係る補足調査)で見落とされていた。
 生き物は、これまでにカキ礁周辺で動物174種、植物18種を確認している。そのなかには、県のレッドデータブックに掲載されている絶滅危惧種も数多く含まれている。








三番瀬市民調査には法政大学の学生も毎年20人ぐらい参加している=2019年6月2日



アナジャコの巣穴数を調査=同上



大きなアメフラシ







★関連ページ

このページの頭に戻ります
「ニュース」にもどります
「市民調査」にもどります

トップページ | 概 要 | ニュース | 主張・報告 | 行政訴訟 | 資 料 |
会報 | 干潟を守る会 | 房総の自然と環境 | リンク集 |