生き物の多さに感動
〜三番瀬市民調査(2017年5、6月)〜
三番瀬市民調査の会は2017年の5月27日と6月24日、三番瀬の猫実川河口域で恒例の調査をおこないました。猫実川河口域は浦安寄りに位置する海域です。会は2003年からこの海域で調査をつづけています。
2001年9月、三番瀬埋め立て計画が白紙撤回になりました。埋め立て中止をもとめる署名を30万集めるなど、三番瀬保全団体のねばりづよい運動の成果でした。
千葉県は埋め立て計画を白紙撤回するさい、猫実川河口域で人工干潟を造成することをうちだしました。この海域に第二東京湾岸道路を通すことが目的です。そのため、三番瀬保全団体は「市民調査の会」を設立して調査をつづけています。
昨年(2016年)10月、県は人工干潟造成の中止を決定しました。中止には市民調査が大きな役割をはたしました。
干潟が広く出現、62種の生き物を確認
荒天のため4月の調査が中止になったため、5月27日は今年最初の調査です。
参加者は14人です。そのうち法大生は7人(男性2人、女性5人)です。いずれも初参加です。法大生は2013年から市民調査に参加しています。
干潮の潮位はマイナス16cmです。広い範囲にわたって干潟があらわれました。塩浜2丁目地先の干潟はめったに出現しません。その干潟も姿をあらわしました。
5月27日の調査項目は、生き物、カキ礁、アナジャコ巣穴数、塩分、透視度です。干潟が干出したのでアナジャコも採取できました。
この日のひとつの特徴は、イシガニとタイワンガザミがいつもより多くいたことです。あわせて10匹ぐらいを確認しました。
アナジャコの巣穴数は東日本大震災以前にくらべてかなり減少しています。三番瀬と周辺陸域は大震災によって20〜30cm沈下しました。このことがアナジャコの減少に関係していると思われます。
それでも、大きなアナジャコを筆で1匹つかまえました。赤ん坊1匹もスコップで採取です。確認した生き物は62種でした。
生き物の多さを体感
6月24日の参加者も14人です。法大生は6人が参加しました。これまで参加した法大生は実数で73人です。
この日も広い範囲で干潟が干出しました。アナジャコは筆をつかって2匹を採取です。酸化還元電位も測定しました。確認した生き物は52種類です。
5月27日と6月24日の報告会では、法大生からつぎの感想が寄せられました。
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「干潟に踏み入れたのははじめてだった。自然の干潟は生き物が多いということを改めて感じることができた」(2年生、男性)
「大震災のあとアナジャコが減ったということを教えてもらった。大地震は生態系にも影響をおよぼすということを知り、勉強になった」(2年生、男性)
「はじめて見る生き物を何種類も目にすることができてよかった」(2年生、女性)
「いろいろな生き物を自分で見つけることはできなかった。何回か参加すると見つけられるようになると思う」(2年生、女性)
「潮の満ち引きをはじめて体験した。それがいちばん印象的だった」(2年生、女性)
「生き物の名前をいろいろと覚えることができた」(3年生、女性)
「はじめて干潟にきた。いろいろな生き物を知ることができて、とてもよかった」(4年生、女性)
「猫実川河口域を歩くと、泥干潟、砂干潟、カキ礁と、いろいろな場所がある。場所によって生き物の生息状況がちがう。環境の多様性を実感した」(3年生、男性)
「さまざまな生き物を発見することができた。また、希少種が何種類もいることを知った」(3年生、女性)
「2017干潟・湿地を守る日」宣言
私たちは、長崎県の諫早湾が閉め切られた1997年の4月14日を忘れずに全国の干潟・湿地の保全にとりくんできました。4月14日を「干潟・湿地を守る日」とするキャンペーンは1999年からはじまりました。
「ギロチン」と呼ばれた諫早湾の閉め切りから20年になります。有明海では赤潮発生が続いていて、諫早湾の潮受け堤防水門の開門は待ったなしの状態です。ところが、開門を求める漁業者側と開門に反対する営農者側がそれぞれ国を相手どって訴訟を起こし、「開門命令」と「開門禁止」の相反する司法判断が出ています。国(農林水産省)はそれを口実にし、いまだに開門していません。そればかりか、開門しないことを前提として100億円の基金案を提示し、漁業者の分断をはかっています。
全国の干潟・湿地は、その多くが開発の危機にさらされています。それは、環境省が昨年4月に発表した重要湿地の調査結果でも明らかです。
東京湾三番瀬では、三番瀬の残り全部を埋め立てるという2期埋め立て計画を2001年9月に白紙撤回させました。三番瀬保全団体のねばり強い運動によるものでした。
その後、千葉県は、第二東京湾岸道路を三番瀬に通すために猫実川河口域の人工干潟化をめざしました。これも2016年10月に中止させました。第二湾岸道路の建設も食い止めています。人工干潟造成を中止させる運動では市民調査が大きな役割を果たしました。
私たちは、干潟や浅瀬、湿原など、いまある豊かな湿地を後世に残していかなくてはなりません。危機に瀕(ひん)している重要湿地をラムサール条約に登録することも大事です。そのために、志を同じくする皆さんと連携し、日本各地の干潟・湿地を守るために力をあわせて行動することを宣言します。
2017年5月27日
「2017干潟・湿地を守る日」
三番瀬市民調査参加者一同
三番瀬市民調査の参加者=2017年5月27日
筆をつかってアナジャコ採取に挑戦する法大生=5月27日
調査の合間に泥干潟で記念撮影=5月27日
塩分測定班=6月24日
イシガニ
タイワンガザミ
ウネナシトマヤガイ
アカニシ
アナジャコ
ヒメケハダヒザラガイ
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