50種の生物を確認

〜2008年6月7日三番瀬市民調査〜



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 三番瀬市民調査の会は(2008年)6月7日、恒例の猫実川河口域市民調査をおこないました。


◆腐食護岸の補修支援を県が拒否

 今回は、問題となっている市川塩浜1丁目護岸のすぐ前をボートで通りました。
 この護岸は老朽化が進み、崩壊の危険が高まっています。しかし、県は補修や改修をする気がありません。

 そこで、市川市が、この6月から8月にかけて補強工事を実施します。今回の工事は3カ所で、事業費は約4000万円です。その財政支援を県に求めましたが、県は拒否しました。

 この件については、こんな報道がされています。
    《護岸の鋼矢(こうや)板は塩害や地震で腐食や変形が進み、台風による土砂流出で陥没も起きている。同市は特に危険が高い部分を立ち入り禁止にし、今年度は4000万円を計上して3カ所の補強工事をする。3億円規模の工事を想定し、2月に県へ財政支援を求めたが「協力できない」との回答だったという。》(『毎日新聞』千葉版、5月30日)

    《今回の工事は3力所で、計約70メートルにわたり護岸の前に捨て石を並べて矢板の倒壊を防ぐ。事業費は約4000万円。県は今年2月、工事費を負担しない方針を市に伝えてきた。》(『東京新聞』千葉版、6月4日)


◆市川塩浜2丁目の護岸改修に呆れる

 次は、猫実川河口域に面する市川塩浜2丁目護岸のすぐ前を通りました。
 ここは、県が護岸改修を着々と進めています。それも、貴重な生物が生息する海域をつぶしながらです。きのうも、数台の大型ダンプやショベルカーが動き回り、捨て石がどんどん海域に投入されていました。
 この2丁目護岸の改修については、県の土木技術職員からも疑問の声がだされています。こんな声です。
     「どうして市川塩浜2丁目の護岸改修を急いでやるのかまったくわからない。というのは、2丁目の護岸は数年前に補修工事を実施したばかりなので、そこを急いで改修する意味はまったくないからだ。外房など、緊急に保全工事をやるべき海岸がほかに何カ所もある。千葉港の公共埠頭も、老朽化が進んで陥没や崩壊の危険性が高まっている所が何カ所もある。また、塩浜1丁目の護岸も崩壊の危険にさらされている。それらを放置し、不要不急ともいうべき塩浜2丁目の護岸改修に力を入れていることについて、多くの土木職員が呆れはてている」

     「この護岸改修は、三番瀬再生事業の名で進められている。しかし、海をつぶして石積み護岸をつくることがなぜ三番瀬再生なのか。どこが自然再生なのか。この点については、何人もの県職員が疑問を抱いている」

     「土木職員は、塩浜2丁目の護岸改修を“堂本知事のお遊び”とみている。国交省はそんな“お遊び”につきあわされ、多額の補助をしている。海岸保全関係の県職員も、クビをかしげながら市川海岸塩浜地区護岸検討委員会に動員されたりしている」
 塩浜2丁目の護岸改修については、こんな声がだされているのです。
 ちなみに、2丁目護岸の改修は“堂本知事のお遊び”ではありません。緊急改修を求められている箇所を放置してまで2丁目護岸の改修を進めるウラには、第二湾岸道路(第二東京湾岸道路)を三番瀬に通すという重要な目的があります。
 「三番瀬再生」という美名で、石積み護岸の前面に土砂を入れて猫実川河口域を人工干潟にする。そして、その造成工事の際に第二湾岸道路を埋め込む──ということです。


◆ハゼの稚魚が泳ぎ回る

 ところで、猫実川河口域は調査するたびにちがった様相を見ることができます。
 今回は、ハゼの稚魚がたくさん泳ぎ回っていたのが特徴でした。浅場や潮だまりはどこも稚魚だらけという感じでした。

 また、カキ礁の数カ所で、何匹ものタカノケフサイソガニがエサの取り合いをしていました。これも初めて見ることでした。


◆毛筆でアナジャコを採取

 さらに、毛筆を使ってアナジャコを4匹採取しました。最長で深さが3メートルもあるといわれるアナジャコの巣穴に毛筆を突っ込み、アナジャコが食らいついたらすぐに引っ張り上げるのです。
 これは久しぶりの試みでした。


◆50種の生き物を確認

 今回もいろいろな生き物を発見しました。確認した生物は、クロガネイソギンチャク、オキシジミ、イシガニ、クサフグなど50種です。
 そのうち、県のレッドデータブックに掲載されている希少種は6種類です。ランクA(最重要保護生物)のウネナシトマヤガイとコアジサシ、C(要保護生物)のオキシジミとダイサギ、D(一般保護生物)のマメコブシガニとカワウです。


◆「カキ礁に感激」

 市民調査には、毎回、初参加者がおられます。今回は東京大学のO教授です。
 教授は、大学院生のK君といっしょにカキ礁の面積測量をしてくれました。棒と巻き尺を使用しての、伊能忠敬が用いた測量方法です。測量結果はあとで報告してくださるとのことです。

 教授はこんな感想を述べられました。
     「念願だったカキ礁に初めて行くことができ、感激した。大満足だった」
 猫実川河口域が人工干潟造成(=埋め立て)の危機に瀕していることから、「三番瀬市民調査の会」は、これらの調査結果を保全運動に役立てることにしています。












市川塩浜1丁目の護岸。この護岸は老朽化が進み、陥没・崩壊の危険が高まっている
しかし、県は補修や改修をする気がない。市川市が補修することにし、
その財政支援を県に求めているが、県は拒否している。

 




一部が陥没した市川塩浜1丁目護岸





市川塩浜2丁目の護岸。ここは崩壊の危険がないのに、
県は、多額の税金を投入して改修を進めている。
それも、貴重な海域をつぶしながら、である。





スズキの幼魚(セイゴ)




クサフグ




潮だまりや浅瀬ではハゼの稚魚がたくさん泳ぎ回っていた




ぎっしりはりついたイボニシ




イボニシの卵




★県による調査結果

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