“生命が息づく浅海域”を実感
〜三番瀬市民調査で34種類の生き物を確認〜
(2006年)9月9日、今年最後の三番瀬(猫実川河口域)市民調査をおこないました。
10月から2月までは、泥干潟の干出が夜になるため、調査ができません。
きょうは干潮が34センチだったため、泥干潟は干出しませんでした。それでも、カキ礁の周辺は水深10センチぐらいになったので、長靴や半ズボンの格好で歩き回れました。
■34種類の生き物を確認
泥干潟が干出しなかったため、確認した生物はいつもより少な目でした。それでも34種類の生き物を確認しました。
魚ではマハゼ、スジハゼ、スズキなど、貝類ではアサリ、オキシジミ、サルボウガイなど、カニはイシガニ、ケフサイソガニなどです。
■中学1年の透君がハゼ8匹を釣る
猫実川河口域では、ハゼなどがたくさん泳ぎ回っていました。
東京から一人で参加した透君(中学1年)の目的はハゼ釣りです。カキ礁の周りでマハゼを8匹釣りました。見事な腕です。
そんな透君の感想は、「ハゼなどたくさんの生き物がいて、すご楽しかった」です。
■ハゼ釣りやカニ釣りのメッカに
猫実川河口の護岸に帰着すると、県内をはじめ、東京や埼玉などからたくさんのハゼ釣りやカニ釣りの客がやってきていて、河口部や市川塩浜3丁目護岸などで釣りをしていました。家族連れも目立ちました。
9月から11月までは、猫実川河口域の周辺護岸は、“ハゼ釣りやカニ釣りのメッカ”になるそうです。
この海域が“生命が息づく浅瀬”であることを実感しました。
■猫実川河口域は、東京湾のイシガレイ存続に重要な役割を果たしている
神奈川県水産総合研究所の工藤孝浩主任研究員はこんなことを語っています。
「東京湾のイシガレイの存続に重要な役割を果たしている浅瀬(猫実川河口域)が人工干潟になれば、東京湾全体の生態系に影響が出る可能性がある」
「自然の喪失を上回る利益のない所には、人工干潟を造るべきではない」
このように、猫実川河口域の浅瀬は魚の「揺りかご」となっているのです。
■「泥ではなくヘドロだ」
一方、自民党の矢野光正県議(船橋市選挙区)は、県議会の一般質問や「三番瀬特別委員会」でドロクダムシをやり玉にあげ、「ドロクダムシは名前のとおり泥の中にいるわけだが、ヘドロの中にもいる」「(猫実川河口域で)見え隠れするのは泥ではなくヘドロだ」とブチ上げました。
三番瀬再生会議の公募委員であるK氏も、「(環境保護団体が)泥干潟とよんでいるところははっきりいってヘドロである」(今年7月23日の第14回再生会議)と主張しました。
また、猫実川河口域に土砂を入れて人工干潟を造成すべきと盛んに主張している環境NGOのリーダーは、「東京湾奥部には保護すべき自然なんて見当たらない」と言い切っています。
今後も、三番瀬再生会議などでこうした主張や意見がどんどんでてくると思われます。
「三番瀬市民調査の会」は今後、これまでの調査結果をまとめ、猫実川河口域が“生命が息づく浅瀬”あるいは“多様な生物を育む海の揺りかご”であることをアピールしていくことにしています。
■猫実川河口域の確認生物は164種類
〜船橋側は166種類〜
なお、これまでの猫実川河口域(市川側海域の一部)市民調査で確認した生き物は164種類(うち、鳥類は29種類)です。
一方、「三番瀬自然観察会」や「三番瀬探検隊」において三番瀬の船橋側で確認されている生き物は166種類(うち、鳥類は77種類)です。
(2006年9月)
透君が釣ったハゼ
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