絶滅危惧種の多さに感激
〜三番瀬市民調査で61種類の生き物を確認〜
三番瀬市民調査の会は2018年6月16日、猫実川河口域で恒例の調査をおこなった。4月と5月は荒天のため中止したので、この日が2018年最初の調査である。
猫実川河口域は三番瀬の浦安寄りに位置する。2001年9月に三番瀬埋め立て計画が白紙撤回になったあと、県はこの海域で人工干潟を造成することをめざした。ここに第二東京湾岸道路を通すことが目的である。そのため、三番瀬保全団体は2003年に「市民調査の会」を設立し、この海域で調査をつづけている。県は2016年10月、人工干潟造成計画を中止した。中止には市民調査が大きな役割をはたした。
この日は、生き物、塩分、透視度、アナジャコ巣穴数などを調べた。参加者は16人。そのうち6人は法大生だ。調査に参加した法大生は、実数で78人となった。初参加者は8人である。
干潮は12時44分。その1時間前ぐらいから広大な面積の干潟があらわれた。東日本大震災以降の調査では最大の干出面積である。めったに干出しない市川市塩浜2丁目地先の干潟も広い範囲で干出した。
3時間ほどかけて61種類の生き物を確認した。そのうち8種類は絶滅危惧種だ。ウネナシトマヤガイ、ウミゴマツボ、マメコブシガニ、ツバサゴカイなどである。
調査後の報告会では、学生や初参加者からこんな感想が寄せられた。
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「干潟に足を踏み入れてみると、いろいろな生き物がいることがわかった」
「葛西臨海公園の東なぎさを観察したことがある。猫実川河口域には、東なぎさで見ることのできなかった生き物も数多くいた」
「生き物をたくさん見るのははじめてだった。楽しかった。絶滅危惧種を何種類も見ることができて、感激した」
「ツバサゴカイというおもしろい生物を見ることもできて、よかった」
「猫実川河口域の近くに住んでいるが、市民調査に参加したのははじめて。きょうはかなり広い面積の干潟があらわれた。年1回の調査報告会には何回か参加した。調査報告を聞くと、たいへんむずかしい調査をしていると感じる。しかしじっさいに参加してみると、素人でも楽しめることがわかった」
「タマシキゴカイの卵塊が無数にあったのが印象的だった。猫実川河口域のカキ礁や干潟をみて、いろいろな生き物が安心して子どもを産んでいることを感じた。人間社会もそういう状況にしなければ、と思った。たとえば日本には原発が数多く立地していて、原発事故が起こると安心して産めなくなる」
三番瀬市民調査の参加者=2018年6月16日
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