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三番瀬問題を経済学視点から分析

〜大学生たちが挑む〜

中山敏則



 (2010年)8月7日、 「親子で三番瀬の生き物を見つけよう」と銘打った三番瀬観察会がふなばし三番瀬海浜公園前の干潟でおこなわれました。
 この日、ある大学のゼミナール生5人が三番瀬を訪れました。5人から三番瀬問題について聞かれたので、Oさんと私が応対しました。同ゼミナールは、今年度の研究テーマに三番瀬をあげているそうです。三番瀬問題をミクロ経済学の観点から分析するとのことです。

■根底に経済問題が横たわっている

 私はこんな話をしました。
     「三番瀬や東京湾に関する資料は豊富にある。しかし、それを経済学的視点からまとめたものは皆無に近い。その点で、みなさんがやろうとしていることはたいへん有意義だと思う」

     「戦後、東京湾の千葉県側の干潟は片っぱしから埋め立てられた。その背景には高度経済成長政策があった。このように、埋め立て問題の根底には経済問題が横たわっている」

     「三番瀬には3つの漁協がある。船橋市漁協と市川市の2漁協(市川市行徳・南行徳)である。船橋市漁協は埋め立てに反対し、三番瀬をラムサール条約登録湿地にして恒久保全することを求めている。一方、市川市の2漁協は埋め立てに賛成してきた。いまも、猫実川河口域(市川側海域)の人工改変(人工干潟化)を求め、ラムサール条約登録にも強く反対している。その違いは、やはり経済問題だ。船橋市漁協は今後もずっと漁業をつづけたいと考えている。そのためには、三番瀬の恒久的保全が必要だ。ところが、市川市の2漁協は、船橋市漁協とかなり考えが違うようだ。だから、行政の開発計画に賛成している」

     「学者や専門家の姿勢もおなじだ。かつては埋め立てや人工干潟化に反対していたのに、クルッと変節して賛成にまわった学者や専門家がいる。変節の理由はハッキリしている。行政から多額のカネをもらうようになったからだ」

     「三番瀬ではいま、人工干潟化が問題になっている。また、ラムサール条約登録も焦点になっている。県は人工干潟化 をめざしていて、ラムサール条約登録には消極的だ。そのウラには、第二東京湾岸道路を三番瀬の猫実川河口域に通したいということがある。この道路建設は経済界が強く求めている。つまり、三番瀬問題の根っこには経済問題があるということだ。そういう問題をどこまで追究できるか、おおいに期待したい」

■学者・専門家や環境団体が開発に賛成する理由

 Oさんはこんなことを言いました。
     「三番瀬にかかわる環境団体はいくつもある。しかし、その中には、行政とつるんで開発(人工干潟造成など)の推進に積極的に協力したり、開発を容認する団体も多い。そのウラにはカネがからんでいる。要するに、環境問題もつきつめて考えれば経済問題にたどりつくということだ。したがって、経済の研究はすごく大事だと思う。がんばってほしい」
 以上です。
 その後、学生からメールをもらいました。
     「三番瀬保護の現場にかかわっている方の生の声を聞くことができ、有意義な時間を過ごすことができました。三番瀬で見たもの、聞いたものすべてを生かして、ゼミの論文・研究にメンバー一同励みたいと思っています」
 ──とのことです。期待したいと思います。

(2010年8月)




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