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三番瀬をめぐる出来事(2010年)

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《1月》
    ●1月12日
     第17回「三番瀬漁場再生検討委員会」が船橋市漁協の事務所で開かれた。→関連ページ


《2月》
    ●2月2日
     韓国の市民活動家2人が三番瀬を訪れた。訪れたのは、京畿市民社会フォーラム運営委員長の李大洙(イ・デス)さんと京畿市民社会フォーラム運営委員の金承國(キム・スングク)さん。「韓国強制併合100年」を契機に、日本と朝鮮半島の人々の友好を確立し、ともに東アジアの平和創造を行おうというのが訪問の目的。→関連ページ


《3月》
    ●3月19日
     「三番瀬市民調査の会」が2010年最初の市民調査をおこなった。この調査は、三番瀬の市川側にある猫実川(ねこざねがわ)河口域が人工改変(人工干潟造成)の危機に瀕していることから、保全運動の一環としておこなっている。→関連ページ


《4月》
    ●4月1日
     谷津干潟(習志野市)が保全された歴史を正しく理解してもらおうと、千葉の干潟を守る会(大浜清代表)と県自然保護連合(牛野くみ子代表)などが冊子『谷津干潟はこうして残った』を発行した。住民らの埋め立て反対運動によって保全を勝ち取ったという谷津干潟の歴史をイラストや当時の写真で紹介している。さらに、アオサの大量発生問題など現在の課題にもふれている。冊子は1部100円。申し込み先は牛野くみ子さん=電話047(453)4987。


《5月》
    ●5月27日
     三番瀬研究会(小埜尾精一代表)、三番瀬フォーラム(清積庸介事務局長)、日本野鳥の会県支部(志村英雄支部長)の3団体が三番瀬問題に関する意見書を県知事に提出した。意見書は、「三番瀬再生事業と三番瀬再生会議、付随する委員会をいったん凍結して検証すべき」「ラムサール条約の分割的登録は本末転倒」などと記している。
     小埜尾代表は、「再生会議は、現場や漁業者から出た建設的な意見もつぶしてしまういわば疫病神(やくびょうがみ)。この際、会議を廃止するかどうかも検討すべき」と語った(『千葉日報』28日)。


《6月》
    ●6月30日
     「三番瀬再生会議」の第30回会合が開かれた。三番瀬のラムサール条約登録について、「2010年度中に、まずは三番瀬全体での登録を目指すために努力をするとともに、これが困難な場合は船橋地域の登録を目指す」ことを合意した。


《7月》
    ●7月9日
     市川航路の浚渫土砂を利用して市川市塩浜2丁目地先の三番瀬海域で人工干潟を造成することを求める要望書を市川市が知事に提出。市は、塩浜2丁目の再開発と一体でこの海域を「人工干潟」(実際は人工ビーチ)にすることをめざしている。

    ●7月15日
     三番瀬船橋海域のラムサール条約への部分先行登録について、船橋市の藤代孝七市長は、市議会で「拙速に事を運ぶのではなく、十分な合意形成が必要だ」と述べ、消極的な姿勢を示した。

    ●7月17日
     千葉県は国の来年度(2011年度)予算編成に向けた重点要望をまとめた。12の新規項目のなかに成田リニアの実現を盛り込んだ。政府が中止の方針を表明した八ッ場ダム建設事業についても、2015年度(平成27年度)完成に向けた整備推進を求めている。また、三番瀬のラムサール条約登録が進まない根本原因である第二東京湾岸道路の早期具体化も継続事項としてあげている。


《8月》
    ●8月3日
     三番瀬・市川側海域の護岸改修を審議している「市川海岸塩浜地区護岸検討委員会」の第31回会合が千葉県国際総合水泳場(習志野市)の会議室で開かれた。議題は市川塩浜2丁目護岸のうち、幅100メートルのバリエーション。市民が海に触れあえるような親水性の護岸とすることで合意された。

    ●8月7日
    「親子で三番瀬の生き物を見つけよう」と銘打った三番瀬観察会が、ふなばし三番瀬海浜公園前の干潟でおこなわれた。この催しは4年前から毎年、この時期に開かれている。参加者は130人で、大部分が親子連れ。主催は同名の実行委員会。→関連ページ

    ●8月23日
     東京湾奥部に残る貴重な干潟・浅瀬「三番瀬」の保全にとりくんでいる8団体が、三番瀬のラムサール条約登録実現に向けて2010年度中に所要の手続きを講じることを求める申入書を千葉県知事に提出した。→関連ページ

    ●8月26日
     千葉県企業庁は千葉ニュータウンなど土地の造成や分譲、賃貸を扱う土地造成整備事業の終了時期を延長する方針を固めた。2012年度末に廃止する予定だった事業会計を15年度末まで残し、未分譲の土地売却などを進める。(26日付け『日本経済新聞』より)

    ●8月31日
     「三番瀬を守る署名ネットワーク」など8団体は、三番瀬のラムサール条約登録問題で市川市と話しあった。同市行徳支所の田草川信慈支所長は、三番瀬全体の登録には同意できないが、船橋側海域の部分登録は否定しないと答えた。→関連ページ


《9月》
    ●9月3日
     森田知事は9月定例千葉県議会の代表質問で、住民参加組織「三番瀬再生会議」の抜本的見直しを検討中であることを明らかにした。→関連ページ

    ●9月10日
     三番瀬再生会議の「ラムサール条約」ワーキンググループ(WG)が三番瀬サテライトオフィス(船橋市)で開かれた。議論の結果、次のことをWGとして9月21日開催の第31回「三番瀬再生会議」に提案することが合意された。
     「三番瀬ラムサール条約登録は、まずは三番瀬全体の登録をめざすこととするが、そのタイムリミットは今年12月とする。それまでに関係者の合意が得られない場合は、船橋側海域の登録をめざす」。→関連ページ

    ●9月17日
     千葉県弁護士会(市川清文会長)が、三番瀬をラムサール条約登録湿地にすることを求める声明文を国や県に提出した。2012年にルーマニアで開かれる第11回ラムサール条約締約国会議に登録が間に合うよう手続きをすることを求めている。
     声明では、三番瀬は生物多様性に富んでおり、同条約の国際基準をいくつも充足し、科学的見地から第一級の価値を有する湿地とし、三番瀬で漁業を営む船橋市漁協のスズキの水揚げ量は日本一であるなど、かけがえのない湿地であると強調している。→関連ページ

    ●9月21日
     「三番瀬再生会議」が浦安市内で開かれ、県は、再生会議のあり方を抜本的に見直し、「(再生事業の)新たな推進体制を次回の会合で示す」と表明した。→関連ページ

    ●9月22日
     千葉市の千葉港から市川市沖までの広い範囲で青潮が発生し、三番瀬でアサリが大量に死ぬ被害が出ていることがわかった。船橋市漁協によると、被害はアサリ漁場の約9割の範囲におよびび、青潮の被害としてはアサリ約2000トンが死んだ1985年以来の大規模なものになる可能性があるという。

    ●9月30日
     森田健作知事は定例記者会見で、三番瀬再生会議について「再構築しようと考えている」と見直す方針をあらためて表明した。

    ●9月30日
     千葉県企業庁は千葉ニュータウンなど土地の造成や分譲、賃貸を扱う土地造成整備事業の終了時期を延長する方針を正式に発表した。2012年度末に廃止する予定だった事業会計を15年度末まで残し、それでも売れ残った土地は16年度につくる後継組織に引き継ぐとしている。


《10月》
    ●10月12日
     第32回「市川海岸塩浜地区護岸検討委員会」が県国際総合水泳場(習志野市)の会議室で開かれた。主な議題は市川市塩浜2丁目の改修護岸のバリエーション(形状)の検討。→関連ページ

    ●10月28日
     三番瀬保全8団体が「三番瀬再生会議の見直しに関する要望書」を知事に提出した。→関連ページ


《11月》
    ●11月2日
     青潮の影響で三番瀬のアサリが大量死した問題で、県と市川・船橋両市の3漁協が合同調査を行った結果、死滅したアサリは総計4750トン、斃死(へいし)率は88%にのぼることが分かった。

    ●11月30日
     森田知事は県議会代表質問で、三番瀬再生会議を12月で終了し、同会議に代わる新たな組織を年度内に設置する方針を表明した。「再生会議の見直しについては地元の意見をよく聞きながら、県と地元4市との連携のもとで行政が主体的に取り組んでいくことが重要」「再生会議に替えて、新たに専門的見地から助言などを行う学識経験者による組織を設置する」と言明。

    ●11月30日
     三番瀬のラムサール条約(湿地保全のための国際条約)登録をめざす「みんなの力で守ろう三番瀬!」の集いが船橋市内で開かれ、市民など約600人が参加した。主催は「三番瀬のラムサール条約登録を実現する会」などが参加する実行委員会。

    ●11月30日
     船橋市漁業協同組合の海苔(のり)研究会(会員6人)と小型底引網漁業研究会(会員11人)が「三番瀬のラムサール条約登録は時期尚早」などとする意見書を船橋市に提出していたことを市議会一般質問の答弁で市が明らかにした。これに対し、同漁協の大野一敏組合長は「意見書については聞いていない。臨時総会の決議(ラムサール条約登録決議)が漁協の公式見解だ」とコメントした。


《12月》
    ●12月2日
     三番瀬のラムサール条約登録問題で、船橋市の藤代孝七市長は市議会一般質問で「市川市は船橋市が部分登録をやるなら(構わない)ということだが、やはり全体登録に向けて努力していく」と答弁し、船橋海域の先行登録について否定的な姿勢を示した。

    ●12月16日
     県が住民参加「三番瀬再生会議」を解散する問題で、「三番瀬を守る連絡会」(中山敏則代表世話人)が県交渉をおこなった。→関連ページ

    ●12月20日
     第21回「三番瀬漁場再生検討委員会」が船橋市漁業協同組合の会議室で開かれた。→関連ページ

    ●12月22日
     知事の諮問機関「三番瀬再生会議」の最終会議(第32回会合)が浦安市内で開かれた。
     県は、再生会議を解散し、それに代わる新たな組織として、県と地元4市が主体的に再生事業を進めるとする新たな推進体制をつくる。また、その助言組織として「専門家会議(仮称)」を立ち上げるとしている。しかし、この会議は助言するだけで、諮問機能をもたない。さらに、地元住民や自然保護団体の代表は排除である。
     そこで、この新方針について、「これまで検討したり、提言してきたことがご破算になる」 「県が主体的にやることは重要だが、大きな目的は行政だけでは実現できないことを忘れないでほしい」などと委員から批判が相次いだ。
     また、県が提示した新しい三番瀬再生事業計画案についても批判が噴出した。ラムサール条約登録についても、県の消極的な姿勢にきびしい批判がだされた。→関連ページ

  

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