「三番瀬を最優先」が船橋市の方針

─第二湾岸道路計画で三番瀬保全団体が船橋市3部長と話しあい─




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 三番瀬保全7団体は2019年7月5日、第二東京湾岸道路の問題で船橋市と話しあった。
 市は、高橋潤弐都市計画部長、御園生剛志環境部長、木村克正道路部長の3部長が出席した。環境政策課長なども同席した。
 はじめに市長あての質問・要望書を渡した。話しあいの概要は以下のとおり。


船橋市に対する国交省・県の説明

 石井啓一国土交通相は今年1月17日、「国が主体となって、第二東京湾岸道路を中心とした湾岸地区道路検討会を設置し、検討を加速したい」との方針を表明した。3月28日、国交省が千葉県湾岸地区道路検討会の第1回会合をひらいた。検討会の内容について国交省と千葉県は船橋市にどんな説明をしたか、その説明にたいして市はどのような意見を提示したか、を3部長に聞いた。
 部長はこう答えた。
    「湾岸地区道路検討会の第1回会合では、検討会の下部組織として幹事会を設け、その幹事会において周辺自治会から意見を聴取し、丁寧に検討をすすめていくことが決定された、とされている。正式な意見聴取などは幹事会の場でおこなわれることになっている。しかし、幹事会はまだ開催されていない。したがって、いまの段階では正式な意見をのべる場は設けられていない」

    「ただ、国交省千葉国道事務所と県道路計画課が4月11日に市を訪れ、第1回検討会の概要を市長に説明した。湾岸地域の道路は広範囲で渋滞損失時間が大きくなっていて平均旅行速度が遅くなっている。船橋市から千葉市にかかる国道357号や国道14号は一般道路でありながら大型車の通過交通が多い。このような状況をふまえ、湾岸地区道路検討会の今後の進め方としては、まず三番瀬の再生計画との整合性を確保する。周辺の開発計画や環境などにも配慮する。規格の高い道路の整備効果をきちんと把握していく──。そのような話がされた。最後に、検討会の下部組織として幹事会を設置して周辺自治体から意見を聴取し、丁寧に検討をすすめていくという話があった。幹事会は浦安、市川、船橋、習志野、千葉など関係市を集めて合同で会合をひらく、という話を聞いている」

    「説明をうけたあと、千葉国道事務所にたいして市長はつぎのような話をした。今年1月、第二東京湾岸道路に関する国交大臣の表明を新聞が報道した。突然だった。関係市にたいして事前になんの話もないまま国が発表したことは非常に遺憾である。船橋市としては三番瀬を最優先で考えていく、と」

    「道路の渋滞損失時間が大きいことについては、市長はこんな話をした。船橋市内の国道や県道にも要因があるのではないか。それらの道路改良にも力をいれるべきではないか。関係市の意見をよく聞いてほしい。漁業関係者などにも十分な情報提供や説明をおこなっていただきたい、と」


「三番瀬を最優先にする」が市長の方針

 7団体は、三番瀬に第二東京湾岸道路を通すことについては船橋市も反対の意思を表明してほしい、と要望した。
 部長は次のように答えた。
    「みなさんは、三番瀬は首都圏全体にとってきわめて大切な自然であり、その保全は船橋市の観光やまちづくり、環境などにとっても重要である、と主張されている。そのような三番瀬への思いは、市長もみなさんと同じであると思う。ただ、現時点では第二湾岸道路の具体的なルートや構造、環境対策などが示されていない。そのため、反対の意思を表明してほしいという具体的な要望についてはなんともいえない。市長は市議会において『三番瀬を最優先にしていく』という言葉を発している。これ以上の言葉はないと思う。みなさんからそのような要望がだされたことはうけたまわる」


第二湾岸道路建設より既存道路の改良を優先すべき

 参加者からこんな要望もだされた。
    「船橋市は三番瀬環境学習館をつくってくれた。浦安市も三番瀬環境学習館をつくった。このように、三番瀬の大切さに関する関係市の認識は以前よりもだいぶ高まっている。もし国交省がどうしても第二湾岸道路を三番瀬に通したいと言った場合は、船橋市も明確に反対してほしい。東京湾の奥部には、自然の干潟は三番瀬にしか残っていない。だから、三番瀬をつぶさないでいただきたい。そういうことを船橋市が中心になって表明してほしい」
 部長の答えはこうだ。
    「県の三番瀬再生計画は、その理念として三番瀬の保全・再生・利用をうたっている。もし三番瀬に道路を通すということになったら、まずは三番瀬再生計画の理念に照らし合わせてどうなのか、という問いかけをすることになると思う。国交省や県は三番瀬再生計画と整合性を確保すると言っている。それに照らし合わせていかがなものか、という問いかけをすることになる」
 参加者はこんなことも要望した。
    「きょうの話を聞くと、部長さんたちも三番瀬の重要性を認識されている。しかし、渋滞解消が重要だと国交省や県が押してきた場合、市は対抗できるのか。それを心配している。そこで、渋滞もいろいろなやり方で解消できるということを船橋市からも言ってほしい。たとえば国道357号の若松交差点(船橋市)は、右折レーンを延伸したことによって渋滞がかなり緩和した。新たに第二湾岸道路をつくるのではなく、このような道路改良をどんどんすすめてほしい。そういうことを船橋市からも言ってほしい」
 部長はこう答えた。
    「市長がいつも言っているのは、第二湾岸道路をつくるよりも、まずは国道14号や船取線(県道船橋我孫子線)などを積極的に整備し、それらの渋滞をなんとかしてほしい、ということだ。そのことを国や県に何回も要望している。私たちも市長と同じ考えだ。具体的には、右折レーンの設置などを早期にやってほしいと要望している」






質問・要望書



2019年7月5日 

船橋市長 松 戸 徹 様

三番瀬を守る会 会長 田久保晴孝
千葉の干潟を守る会 代表 近藤 弘
千葉県野鳥の会 会長 富谷健三
市川三番瀬を守る会 事務局長 谷藤利子
三番瀬を守る連絡会 代表世話人 中山敏則
千葉県自然保護連合 代表 牛野くみ子
三番瀬を守る署名ネットワーク 代表 田久保晴孝


第二東京湾岸道路に関する質問と要望について

 船橋市におかれましては、常日頃三番瀬の保全にご尽力くださり、感謝申し上げます。
 私たちは貴重な干潟・浅瀬の三番瀬を後世に残すために活動している団体です。
 今年1月17日、石井啓一国土交通相が「国が主体となって、第二東京湾岸道路を中心とした湾岸地区道路検討会を設置し、検討を加速したい」との方針を表明しました。そして3月28日、国土交通省が千葉県湾岸地区道路検討会の第1回会合を開催しました。
 そこで、第二東京湾岸道路と千葉県湾岸地区道路検討会について下記のとおり質問と要望をさせていただきます。


  1. 国土交通省と千葉県は、千葉県湾岸地区道路検討会の検討内容を関係自治体に対して丁寧に説明するとともに、関係自治体から意見を聴取するとしています。そこで、船橋市に対してどのような説明がされたか、また、船橋市はどのような意見を提示されたかを教えてくださるようお願いいたします。

  2. 東京湾で9割の干潟・浅瀬が失われたなか、三番瀬は首都圏全体にとってきわめて大切な自然であり、貴重な“都会のオアシス”となっています。その保全は、船橋市の観光やまちづくり、環境などにとっても重要です。東京湾の漁業にとっても大切です。そのため、私たちは、三番瀬に第二東京湾岸道路を通すことに26年間反対しつづけています。船橋市におかれましても、三番瀬に第二東京湾岸道路を通すことについて反対の意思を表明してくださるようお願いいたします。











市長あての質問・要望書を船橋市の3部長(左)に渡す
三番瀬保全団体のメンバー=2019年7月5日、船橋市役所




船橋市の3部長(手前の前列)と話しあい=同上




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