─2019年6月11日 矢崎堅太郎議員
東京湾奥部に残る唯一の自然干潟・浅瀬「三番瀬」では、第二東京湾岸道路計画が大きな問題になっている。2019年1月17日、第二東京湾岸道路建設にむけた検討会の設置を石井啓一国土交通大臣が表明した。国交相は3月28日、大臣表明をうけて第1回「千葉県湾岸地区道路検討会」をひらいた。
こうしたなか、6月定例千葉県議会において矢崎堅太郎議員(立憲民主党、浦安市選挙区)が第二東京湾岸道路をとりあげた。
千葉県議会のやりとり |
第二東京湾岸道路に関する県議会の質問・答弁
─ 令和元年6月定例千葉県議会代表質問 ─
2019年6月11日
質問者:矢崎堅太郎議員(立憲民主党)
◇矢崎堅太郎議員
長い間宙に浮いていた第二東京湾岸道路の構想が動きはじめました。
この構想は1994年に地域高規格道路の候補路線に指定されたものの、2001年に当時の堂本知事が構想予定地である三番瀬の埋め立て中止を打ち出したため、以来18年にわたり事実上の凍結状態となっていました。
しかし今年1月、森田知事の要望にこたえるかたちで石井国土交通大臣が「国が主体となり、第二東京湾岸道路と中心とした検討会を設置し、検討を加速させたい」と発言しました。私の地元浦安市のまちづくりも大きく影響する構想がにわかに動きだすことになりました。
第二東京湾岸道路の建設にあたってはメリットとデメリットがあり、慎重な議論が必要だと考えています。
というのも、第二東京湾岸道路の構想が活発に議論されていたころの湾岸主要6路線の予測交通量にくらべ、現在の実際の交通量は20%程度下回っているからです。さらに少子高齢化、人口減少、若者の自動車離れなどを背景に、自動車台数がこの先減少していくことは明らかです。
また将来的には、ドローンを活用した物流や自動運転の実用化、ITを活用した在宅勤務の増加など、社会における交通のあり方が大きく変わる可能性もあります。
費用面においても、どのくらいかかるのか、現時点ではまったく白紙とのことです。参考までに、計画から半世紀を経て昨年千葉県区間が開通した東京外かく環状道路は、これまでに約1兆5975億円の事業費がかかっています。第二東京湾岸道路は用地が確保されている場所も多いので、これほどの事業費がかかるとは思いませんが、莫大な予算が必要になることは容易に想像できます。
現在の湾岸地域における慢性的な渋滞の緩和や災害時の輸送道路としての利用など、その価値は理解できます。しかし、開通するころには社会状況はどうなっているのでしょうか。交通の変化なども含めて、いまだけではなく将来をみすえた検討をしていく必要があると思います。
そこで、まず2問についてうかがいます。1問目は、現在の検討状況はどうなっているのか。2問目は、どのような交通課題があると認識しているのか、ということです。
報道を受けて、浦安市民のみなさんから、騒音や排気ガス、生活道路への車両の進入、景観上の心配など、住環境への影響を懸念する声が多く寄せられています。
そして、第二東京湾岸道路は三番瀬の保全が前提であることは県も表明していることから、その整合性をどのようにとっていくのかという説明も問われています。
三番瀬には、浦安市、市川市、船橋市、習志野市がかかわっています。地域住民の声をいちばん聞くことができるのも地元自治体です。そこでうかがいます。地元自治体からはどのように意見を聞くのでしょうか。
◆森田健作知事(答弁)
第二東京湾岸道路についてお答えします。まず現在の検討状況についてです。
湾岸地域における規格の高い新たな道路ネットワークは、広範囲にわたる慢性的な交通混雑を解消し、地域の活性化や生産性の向上をはかり、本県のポテンシャルを十分に発揮するうえで重要であると考えています。
今年3月に国、県、千葉市などで構成する千葉県湾岸地区道路検討会が開催され、規格の高い新たな道路ネットワーク計画の具体化に向けて議論がスタートしたところです。
今後は、規格の高い道路の整備効果の把握とともに、三番瀬再生計画との整合性を確保する。また、千葉港港湾計画や環境等に配慮しつつ検討をすすめていくこととしています。
次に交通課題についてです。
経済・産業が集積している湾岸地域では、京葉道路や国道357号をはじめとする幹線道路で交通量が多く、大型車の混入率も高いところから、広範囲にわたる慢性的な渋滞が発生しています。
さらに、今後も港湾機能の強化や物流施設の立地等にともなう交通需要の増大がみこまれています。このため、湾岸地域の広範囲にわたる渋滞にたいする抜本的な対策が必要であると考えています。
それから、地元自治体からの意見聴取についてです。
本年3月に開催された千葉県湾岸地区道路検討会において、検討会の下部組織として幹事会を設置し、その幹事会において周辺自治体から意見を聴取し、丁寧に検討をすすめていくこととしています。
県としては、ひきつづき国に協力し、地元市や関係機関との調整を含め、早期に計画の具体化がはかれるようとりくんでいくこととしています。
(三番瀬を守る連絡会作成)
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