多くの生物が息づく干潟に感激

〜2009年5月三番瀬(猫実川河口域)市民調査〜



トップページにもどります
「ニュース」のページにもどります
特集「市民調査」のページにもどります



 「三番瀬市民調査の会」は(2009年)5月23日、定例の市民調査をおこないました。この調査は、「三番瀬再生」という名で猫実川河口域(三番瀬の市川側海域)に土砂を投入し、人工砂浜を造成する動きがあることから、この海域の自然の豊かさを証明するためにつづけているものです。


◆愛知・岐阜の弁護士さんも5人参加

 参加者は21人です。そのうち10人が初参加です。それも、愛知・岐阜両県の弁護士さんが5人と、遠くからも参加していただきました。弁護士さんたちは、名古屋で「生物多様性条約第10回締約国会議」(COP10)が来年開かれるため、それに向けて現場を見学したいということでした。
 また、東京大学の大学院生2人と、指導教員の中島先生も初めてです。


◆たくさんのボラが飛び跳ねていた

 ボート3隻でカキ礁へ向かう際、面白い光景をみました。ボートのすぐ近くでたくさんのボラが盛んに海面を飛びはねていました。
 ボートのスクリュー音に驚いて飛び跳ねているのかと思ったら、ちがうようです。「スクリューが高速回転すると無数の泡がでる。ボラは、この泡をめがけてやってくる」と、船長さんが説明してくれました。


◆ヨコエビやゴカイなどを採取

 水深が浅くなると、いつものように、生き物、カキ礁、付着生物、アナジャコの巣穴数、塩分、透視度を調査です。初参加の人たちは、各調査班には加わらず、自由に観察や調査をしていただきました。大学院生は、底泥からヨコエビやゴカイなどを熱心に採取しました。


◆めずらしい生物をたくさん見られて感激

 弁護士さんたちは、希少生物の観察やアナジャコの採取に関心を示しておられました。
 この日はハゼの稚魚がたくさん泳ぎ回っていました。潮だまりでは、棒網ですくうと簡単にハゼを捕まえることができます。アカエイの稚魚が小さな潮だまりにとどまっていたこともめずらしいことでした。
 弁護士さんたちは、ウネナシトマヤガイ、オキシジミ、マメコブシガニ、タテジマイソギンチャク、ウスヒラムシ、ヒメケハダヒザラガイ、アナジャコなどを見たのは初めてでした。
 希少生物をたくさん見ることができて、みなさん感激されていました。


◆干潟の生態系のすごさを実感

 調査終了後、初参加者からこんな感想が寄せられました。
     「ボートに乗る前は、どこに連れて行かれるのかと思っていた。たくさんのめずらしい生き物をみることができて、とてもよかった」

     「生き物がたくさんいる現地に足を踏みいれることができて、感動した」

     「ボトルに、ハゼの稚魚とアラムシロガイをいっしょに入れたら、ハゼが生きたままアラムシロガイに食べられてしまった。これにはビックリした。アラムシロガイが“干潟の掃除屋さん”と呼ばれていることをはじめて知ったが、干潟の生態系のすごさを実感した」
 中島先生はこんなことを述べられました。
     「市民がこういう調査を手弁当でずっと続けていることに感心した。本当は子どもも連れてきたかった。すばらしい環境学習の場でもあるので、子どもも参加できる観察会もぜひ実施してほしい」


◆39種の生き物を確認

 この日確認した生物は次のとおりです。今回は干出区域が狭く、2時間くらいしか干出しなかったため、いつもよりは少なくなっています。


◎カイメン
 ナミイソカイメン
◎クラゲ
 ミズクラゲ
◎イソギンチャク
 クロガネイソギンチャク、タテジマイソギンチャク
◎ゴカイ
 イトゴカイの一種、ゴカイの一種、タマシキゴカイ
◎二枚貝
 アサリ、ウネナシトマヤガイ、オキシジミ、マガキ、ムラサキイガイ
◎巻貝
  アラムシロガイ、イボニシ
◎ヒザラガイ
 ヒメケハダヒザラガイ
◎カニ
 イッカククモガニ、タカノケフサイソガニ、マメコブシガニ
◎フジツボ
 シロスジフジツボ、ヨーロッパフジツボ
◎アナジャコ
 アナジャコ
◎ヤドカリ
 ユビナガホンヤドカリ
◎その他の節足動物
 イソコツブムシ
◎ヒラムシ
 ウスヒラムシ
◎ホヤ
 マンハッタンボヤ
◎魚
 アカエイ、チチブ、ハゼの一種、ボラ
◎アオサ
 アオサの一種、ボウアオノリ
◎ハネモ
 ハネモの一種
◎オゴノリ
 オゴノリ
◎鳥
 カワウ、カルガモ、キアシシギ、コアジサシ、チュウシャクシギ、ハシボソガラス







ボートでカキ礁へ向かう際、ボートのすぐ近くでたくさんのボラが盛んに海面を飛びはねていました。





水深が浅くなったら調査開始です。





この海域では、希少動物などさまざまな生き物に出会えます。





干潟の底泥を採取して底生生物を調べます。





弁護士さんたちも、習字の筆を使ってアナジャコ採取に挑戦しました。





筆を使って採取したアナジャコ





ハゼの稚魚がたくさん泳ぎ回っていて、棒網ですくうと簡単に捕まえることができました。





千葉県レッドデータブック〔C〕(要保護生物)のオキシジミ。
底泥をスコップで掘るとたくさんでてきます。





アカエイの稚魚が小さな潮だまりにとどまっていました。





ウスヒラムシ





ウスヒラムシをひっくり返したら、すぐに自分で戻ってしまいました。





ユビナガスジエビ





マメコブシガニもあちこちにいました。
千葉県レッドデータブック〔D〕(一般保護生物)に指定されています。





千葉県レッドデータブック〔A〕(再重要保護生物)のウネナシトマヤガイ。
カキ礁のなかにゴロゴロいます。






★県による調査結果

★関連ページ

このページの頭に戻ります
「ニュース」のページに戻ります
特集「市民調査」のページにもどります

トップページ | 概 要 | ニュース | 主張・報告 | 行政訴訟 | 資 料 |
会報 | 干潟を守る会 | 自然保護連合 | リンク集 |